経営学部はどんなことを勉強するのか、どんな大人になっていくのか、想像がつきにくい学部。
この記事は「経営学部に興味があるんだけど、よくわからない」という人のために書いていく。
俺は経営学部に進学した大学4年生。
一般受験から就職活動まで一通り経験しているよ。
この記事を読むと、
- 経営学部に進学するメリット
- 経営学部に進学するデメリット
- 経営学部に向いている人ってどんな人
などを理解できる。
たとえば、就職・受験難易度・経営学部生の雰囲気・経営学の面白さ などがわかるよ。
経営学部に進学した人の就職先はどうなるの?という疑問がある人には、あわせてこの記事がおすすめ。
経営学は、ビジネスの中枢で成果を出せる知識の集合知
経営学は、「社長になるための学問」だと思われているかもしれない。
もちろん実際はそんなに対象者が狭い学問ではない。経営学は英語でBusiness Administrationと呼ばれていて、直訳すると経営管理という意味。
経営学のはじまりは、1800年代後半、あるアメリカ人が「役割分担して効率よく仕事をさせたら、一人で全部作らせるより10倍生産性が上がっちゃった!」ということに気づいたところにある(情報量を9割カットしてるので語弊はあります)。
人を集めて仕事をするという行為に科学的検証を重ねた結果、それまでのビジネスとは圧倒的にパフォーマンスが差が出るようになり、その著書が1911年に『科学的管理法』として出版され、現在の経営学の源流をつくった。
現在では、経営学の裾野が広がったことや、変化の激しい市場に適応するため新たな知見を加えアップデートされ、ビジネス理論の総合格闘技といった雰囲気になってきた(個人的見解)。
現代の企業は日本国内であっても、大企業であればあるほど経営学の知識に基づいた経営をされているよ。
経営学部に進学するメリット
「経営学部の魅力ってどんなところ?」
経営学は純粋に魅力的なんだけど、どうして魅力があるのかまとめてみた。
- アメリカでは人気科目
- 1960年代以降の世界最高峰の頭脳が考えたビジネスに関する知識を知れる
- マーケティングも勉強できる
- 日本では受験難易度が高くない(お得)
- 実は物事の本質を深く見ているので、時代が変わっても使える
経営学部はアメリカでは最も人気がある学部
アメリカでは、最も人気があって入試倍率が高いのは一般的に経営学部。
ビジネス知識が社会に出てからの強い武器になるため、経営学部を卒業した人は就職に有利になる。経営学で大学院を卒業するところまでいくと、初任給から年収1000万円近い水準になったり、大企業の役員候補になったりできると言われている。
日本だと、文系だと法学部や経済学部が人気ある傾向にあるが、アメリカでは勉強ができるほど経営学部を志望する。
アメリカだけでなく、韓国でも経営学部は一番人気らしいよ。
1960年代以降の世界最高峰の頭脳が考えたビジネスに関する知識を知れる
経営学部がアメリカの大学で人気になったのは1960年代から。
その結果、世界最高峰の頭脳がアメリカの大学に集まるので、経営学を学ぶ人々の全体レベルが引きあがった。
経営学に世界中の頭のいい人が入り浸った結果、合理的で実践的な知識に成長していくことになった。
日本の経営学部では、アメリカを中心に成長した経営学を学べるため、モロにアメリカで人気があることの恩恵を受けられる。つまり講義の内容が面白い。
経営学部はマーケティングも勉強できる
経営学部は、マーケティングの要素も講義の半分くらい入ってくる。ついでに経済学も1割くらい入ってくる。
ビジネス実践に役立つ知識として、マーケティング学科の内容を部分的に学べるので、自分でちょっとした商売をやってみるときには役立つし、就職後に知識不足になることも防げる。
経営学部がカバーする範囲は、ビジネスの場で大人が喋っている内容は完全に理解できるレベルには到達する。
日本では経営学部の受験難易度が高くない(お得)
経営学部は、アメリカや韓国に比べれば、国内では人気がない。そのため、受験難易度はそんな高くない。
とある大学の法学部に入るより、同じ大学の経営学部の方が難易度が低いとすれば、日本ではお得に経営学部に入れることになる。
入りやすくて面白い勉強ができるのは儲けもん!
実は物事の本質を深く見ているので、時代が変わっても使える
経営学は、心理学やリーダーシップ論を基礎に学問を深めてきている。
これは個人的な感想だけど、経営学は短いスパンで世の中に適用できなくなる理論ではなく、人間や組織の本質に基づいた時代に流されない理論を大切にしているため、何年たっても使える知識になっていると感じる。
「どういう状況を作ってあげたとき、人々のモチベーションが高くなる?」とか、「こういう要素はモチベーション上がると思われがちだけど、実は効果ないから気を付けよう」とか、「組織が向かうべき方向性ってこういう風に決めないと失敗するよ」とか、そんな人の心理や組織論のエッセンスがたくさん盛り込まれている。
ビジネス全般をカバーするので他の学問と繋がった違う系統の経営学も講義で習うけど、やっぱり源流は人と組織なのが経営学だと思っている。
経営学部に進学するデメリット
- 偏差値・大学名至上主義の日本の就活では、経営学を学んだことはあまり役立たない
- 数学を避けた文系の掃き溜めになる場合もある(経営学に対しては、やる気がない人も多い)
- 親世代や経営学を誤解した人達も多いため、理解を得にくい
偏差値・大学名至上主義の日本の就活では、経営学を学んだことはあまり役立たない
経営学部に入学し就活をやり切った筆者だけど、やっぱり普通の就職活動では大学時代に学んだ学問は関係ない。
就活で問われるのは「なんでもいいけどさ。君、学生時代に何か必死に打ち込んで継続してきたこと、ある?」になる。
大学のサークルでも、部活でも、インターンでも、旅でも、起業でもいい。面接でいかに大学生活を充実させたか伝えること。
就活生の学習能力は、大学名(大学の偏差値)、もしくは就活用学力試験の結果で判断される。
ビジネス知識があるかないかは入社後にどうとでもなるので関係ないとされている。
日本では、経営学部にいることによって就職は有利にならない。だからこそ人気が出なくて入試難易度が低いとも言える。
数学を避けた文系の掃き溜めになる場合もある
経営学部は、ビジネス系学部の中で特に数学を使わずに済む。
経済学は(大学のレベルによるけど)微分積分とお友達になるし、商学部マーケティング系も本来は数字との戦いになる(とはいえ、数学できない人が卒業するための逃げ道も用意されている)。
その中で、経営学部は数学がほとんど出てこない。それを見かねて大学側が必修に統計や数学を何単位かブチ込んでくることがあるくらいだ。
数学を避けて潰しの効きそうな経営学部を選ぶ学生も多いため、掃きだめ感がある学部になりやすいという特徴がある。
【掃きだめ学部の特徴】
- チャラい学生が多い
- 学問にやる気のない学生が多い
- すべてに対して無気力な学生も多い
- 酒癖が悪い学生が多い
- 実は可愛い女子が多い
学問への意欲はともかく、「大学生活、ちゃんと遊ぼう!」と思っていない人にはキャンパスの雰囲気が優しくない。進んで勉強したがる学生はそもそも日本では少数派。
経営学部の環境は、色々と要領の良さが問われている気がする。
陰キャムーブは大学生活をkillしてしまうぞ。
親世代や経営学を誤解した人達も多いため、理解を得にくい
経営学部は40代以降の世代に馴染みが薄い。歴史の浅い学問だ。
それどころか、普通に10~20代にもあまり理解されていない。
「経営学部に行って何するの?」などと聞かれてきた筆者は、「どこ学部でも大卒資格とるため以外そう変わらんだろ」と憤怒してきた。経営学部あるある。
憤怒しすぎてメロスになっちゃう。
理解されなくても経営学部は非常に魅力的で、経営学部を選んでよかったと思っているが、理解されないのには少しの悲しみを感じる。
経営学部に向いている人はどんなひと?
経営学部に通ってみて、筆者は「自分には適性があったみたいだな~」と感じた。
経営学部に向いている人の特徴を3タイプに分類してお伝えすると、
- 暗記勉強が退屈で、「社会の仕組み」的なものを攻略したい欲求が強いタイプ
- 数学を使わなくて済んでアクティブに大学生活を楽しみたいタイプ
- 勉強以外にやりたいことがあるけど、最終的には就職などでビジネスの世界に入りそうなタイプ
暗記勉強が退屈で、「社会の仕組み」的なものを攻略したい欲求が強いタイプ
これは筆者自身がこのタイプだと感じている経営学部に向いている人。
とにかく暗記するのではなく、「どうしてこうなるんだろう?」と考えることが評価されやすいというのが大学には傾向としてある(資格修得を目指すなど、ゴールが明確な学部では異なる)。
とにかく暗記するというのが苦手で、腹落ちするまで考えたいタイプには厳密な答えがなく、自分で正解にしていかなくちゃいけない学問やビジネスの世界は生きやすい。
さらに、「組織を束ねて何者かになりたい」や「身の回りの人と良い関係を築いていきたい」など、社会に向き合いたい人は経営学部での勉強も含めて楽しいはず。
サークルや学生団体などにも参加してみることで、実践の場も確保してたくさんのトライ&エラーを繰り返せる生活は最高だったぞ。
数学を使わなくて済んでアクティブに大学生活を楽しみたいタイプ
まず、大前提で数学への苦手意識があるので避けたいという人。その上で、大学生活では夢のキャンパスライフを楽しみたいという人。
経営学部は男女比は半々になりやすく、サークル活動やゼミなどが浸透しているため、積極性を持てば青春的なものは何でも経験できる。
恋人つくって沢山遊び、就活頑張って卒業すれば大満足の大学生活になるし、その土壌はしっかり整っている。
勉強以外にやりたいことがあるけど、最終的には就職などでビジネスの世界に入りそうなタイプ
経営学部は単位を取るのがそれほど難しくない部類だと感じる。
なぜなら数字を使わないから、文字を書けばなんとかなってしまう(大学のレベル感にはよるとも思う)。
大学生活以外に、部活・インターン・DTM・演劇・Youtube・音楽活動 等々、打ち込んでみたいことがある人には、大学の勉強がそれほど負担にならない学部は良い環境。
それでも、最終的には就職するルートの可能性を残しておいてもいいかなと思うなら、経営学部はぴったりかもしれない。
筆者は4年間、企業でインターンに打ち込んだ大学生でした。
経営学部では、受け身すぎると痛い目を見る
最後に、経営学部が向かない人や、経営学部の注意点を紹介する。
経営学部は単位がとりやすく卒業しやすい。つまり、自分を何かに頑張らせてくれる動機がない。
無気力で内向的な人が経営学部に行ってしまうと、何もない大学生活になりかねないな…と思います。
人間関係が苦手な筆者の場合は、インターンで働くことに楽しさを見出した。
ウェイウェイしながら酒を飲むことは苦手だった。
もし何も行動しなかったら、惰性で大学四年間は生き延びたとしても、就活で評価される項目が何もない状態なので就職がうまくいかず虚無の人生に突き進むところだった。
もし、誰かに導いてもらう方が自分に合っているように感じるなら、教職を目指したり、公務員講座を受講して公務員を目指したりすると生きやすそう。経営学部は公務員になる人はいるけど、教職はほとんどいない。
この記事の執筆時は経営学部生だった僕が、就職してはじめてのお給料を公開してみました。